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東京高等裁判所 平成3年(行ケ)176号 判決 1995年10月25日

兵庫県尼崎市下坂部三丁目11番1号

原告

日立機電工業株式会社

代表者代表取締役

加藤孝之

訴訟代理人弁護士

安江邦治

訴訟代理人弁理士

笹岡茂

伊藤修

東京都千代田区霞が関三丁目4番3号

被告

特許庁長官 清川佑二

指定代理人

岡部恵行

今野朗

土屋良弘

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、昭和61年審判第24579号事件について、平成3年5月2日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和56年11月12日、名称を「クレーンの巻上駆動装置の制御方法」とする発明(以下「本願発明」という。)につき特許出願をした(特願昭56-182033号)が、昭和61年10月13日に拒絶査定を受けたので、同年12月18日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を同年審判第24579号事件として審理したうえ、平成3年5月2日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年6月26日原告に送達された。

2  本願発明の要旨

別添審決書写し記載のとおり。

3  審決の理由

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物である宮入庄太著「エネルギー変換工学入門(下)」(昭和40年4月10日丸善株式会社発行)の418~419頁(以下「引用例1」といい、その発明を「引用例発明1」という。)の記載及び特開昭50-44414号公報(以下「引用例2」といい、その発明を「引用例発明2」という。)の記載に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、本願発明の要旨、引用例2の記載事項の認定は認めるが、引用例1の記載事項の認定、本願発明と引用例発明1との一致点の認定並びに相違点の判断は争う。

審決は、引用例発明1の認定を誤り、本願発明と引用例発明1との相違点を2点だけであって、両者はその他の点で一致しているとして、一致点の認定を誤り(取消事由1)、相違点1の判断を誤り(取消事由2)、また、引用例2が開示している技術思想を引用例1に適用できると誤認したため、相違点2の判断を誤り(取消事由3)、その結果、誤った結論に至ったものであるから、違法として取り消されなければならない。

1  取消事由1(一致点の認定の誤り)

(1)  審決は、引用例1には、「三相誘導電動機の一次側と電源との間に可変電圧、可変周波数のインバータを設け、周波数及び電圧を制御することにより、所定の速度と所定駆動力を得る」(審決書3頁7~10行)ことが記載されていると認定しているが、誤りである。

引用例1(甲第2号証)には、「三相並列形インバータと三相誘導電動機の駆動」の項(同号証418頁~419頁)に、三相並列形インバータを電源と三相誘導電動機との間に設けた特定の電気回路(図16.33)が記載され、この回路につき、あるゲート信号を送ったときのSCRの動作モード(図16.34)と、SCRの動作モードにおける電圧波形(図16.35)が図示され、その特徴が説明されている。

この説明には、上記回路において、速度の制御は、ゲート信号の周波数を加減するか、信号の順序を変えるとかすることにより、任意の周波数、任意の相回転を得ることにより行うこと(同419頁4~8行)、また、低い速度範囲では、ギャップ磁束をほぼ一定になるように電源電圧を加減して、定トルク駆動を行い、高速領域では、SCRの耐圧に限度があるとの理由から、電源電圧を一定として定出力駆動することができること(同419頁14~17行)が記載されており、これによれば、「三相誘導電動機の一次側と電源の間にインバータを設け」てある事実は認定できるが、同インバータが可変電圧、可変周波数のインバータであることの記載もなく、また、同インバータ自身によって周波数及び(電動機)電圧を同時に制御する方法も、同制御方法によって所定の速度と所定の駆動力を得る方法も何ら開示されていない。

すなわち、本願発明のインバータは、インバータ自身によって電圧及び周波数を変更することができる可変電圧、可変周波数(VVVF)のインバータであるのに対し、引用例発明1のインバータは、一定の電源電圧において可変周波数ではあるが、電源電圧を変更しない限りインバータの出力電圧は変わらず、可変電圧とはならない一定電圧、可変周波数(CVVF)のインバータである。

したがって、引用例発明1は、これらの点において本願発明とは異なるのに、審決はこの相違点を看過した。

(2)  審決は、引用例1には、「低速範囲では一定トルクを維持するように電圧及び周波数を制御し、かつ高速範囲では電圧を一定として周波数を制御して定出力制御する制御方法」(審決書3頁10~13行)が記載されていると認定している。

しかし、引用例1には、上記のとおり、「低い速度範囲では、ギャップ磁束をほぼ一定になるように電源電圧を加減して、定トルク駆動を行うこと」及び「高速領域ではSCRの耐圧に限度があるから、電源電圧を一定として定出力駆動とすること」が可能であることは明示されているが、審決の上記認定は、引用例1の「電源電圧」すなわちインバータに入力する電圧を、インバータから出力され電動機に供給される「(電動機)電圧」に読みかえ、「電源電圧」イコール「(電動機)電圧」の概念を作り出し、引用例発明1において、あたかも可変電圧、可変周波数(VVVF)のインバータが存在し、その出力たる「電圧」と「周波数」の制御を行うことによって、定出力制御を行っているもののように認定するものであり、誤りである。

被告は、「電圧を一定として周波数を制御する」ことによって、「定出力駆動」すなわち「定出力制御」と呼ばれる電動機の出しうる出力を一定に定める制御を行うことができることは、周知であるというが、「電圧を一定として周波数を制御する」ことによって、「定出力駆動」ないし「定出力制御」をすることができないということの方が、よく知られた事項である。

被告が周知資料として提示する上山直彦編「サイリスタ制御ACモータの運転と保守」(乙第1号証)には、誘導電動機を定出力制御する方法が記載されているが、その制御方法において定出力駆動を得るためには、周波数の制御のみではなく、周波数とすべり周波数の比であるすべり%を一定とする条件を前提としている。したがって、同文献からは、どのように解釈しても、引用例発明1が、「高速範囲では電圧を一定として周波数を制御して定出力制御をする」ことが明らかとはなりえない。

(3)  審決は、「引用例に記載されたものの低速範囲と高速範囲の境界の速度が本願発明の定格速度に相当する」と認定しているが、誤りである。

引用例の高速領域とは、SCRの耐熱限度によって定まる限界領域を意味し、低い速度範囲は上記領域に至るまでの速度範囲を意味している。

これに対し、本願発明の定格速度はクレーンの巻上用駆動源における定格荷重(ある駆動源に対する定められた荷重)の吊荷を吊り上げるのに必要な定格トルク(一定値のトルク)が得られる最大速度をいうのであるから、引用例1における「低い速度範囲」と「高速領域」との境界の速度ではないし、まして、「低い速度範囲」と「高速領域」と同義語か否かも確定できない「低速範囲」と「高速範囲」の境界の速度でもないといわざるをえない。

2  取消事由2(相違点1の判断の誤り)

審決は、本願発明と引用例発明1との相違点1として、「本願発明では、『インバータにパルス巾変調部を介して周波数制御部を接続』した構成であるのに対し、甲第2号証(注、引用例1)に記載されたものにはこの点について記載されていない点」(審決書4頁1~4行)を挙げ、これにつき、「電動機のインバータによる可変電圧可変周波数制御において、パルス巾変調部を介して周波数制御部を接続することは従来周知」(審決書4頁13~16行)とし、これを本願発明に対する周知の技術事項としているが、誤りである。

上記の技術事項が周知であること自体は認めるが、この周知事項は、本願発明に対する周知の技術事項とはいえない。

審決が周知技術を示すものとして例示した特開昭55-92589号公報(甲第3号証の1、以下「周知例1」という。)の発明は、工作機械の主軸駆動用電動機のオリエンテーション時における定トルク制御を行うためのものである。オリエンテーションとは、工作機械の主軸に工具を取り付けるために行う動作のことをいい、工作機械による切削などの動作終了後に、いったん主軸電動機を停止せしめた後に、オリエンテーションモードに切り替えて行われるものである。この動作時における駆動電動機としての特徴は、切削などの動作時に比較して微速回転させること、駆動トルクは、通常運転時の1/3から1/2程度とすることの2点である。

このような動作を得るために、周知例1の発明では、「電動機のインバータによる可変電圧可変周波数制御において、パルス巾変調部を介して周波数制御部と接続すること」が行われているのであるが、これをもって、本願発明に対する周知の技術事項とはいえない。

なぜなら、本願発明の巻上駆動用電動機においては、零から最高速度までのあらゆる速度で吊荷を吊り上げ、必要な加速力を与えるに十分なトルクを必要とするものである。したがって、定格荷重の吊り荷を持ち上げるに当たって、周知例1のように、通常運転時の駆動トルクの1/3から1/2程度のトルクを得るような制御を行ったのでは、吊り荷は落下してしまうことになり、到底、本願発明の巻上駆動用電動機の制御にはなじまない。

このように、その目的も作用効果も全く異なる周知例1の回路構成の一部を取り出して、共通の部材が存在するからというだけで、本願発明に対する周知の技術事項とすることは誤りである。

同じく審決が周知技術を示すものとして例示した株式会社安川電機製作所発行の「安川電機」第44巻通巻第168号’80No.3(昭56-3-24)p.167-173「ACドライブ」の項(甲第3号証の2、以下「周知例2」という。)の技術は、工具、被加工材の性質などに応じて設定される所定の速度範囲における一定の切削トルクの発生のみを問題とするものであって、本願発明の巻上駆動用電動機の制御とはその目的及び作用において全く異なるものである。したがって、周知例2をもって、本願発明に対する周知の技術事項とすることは、誤りである。

3  取消事由3(相違点2の判断の誤り)

審決は、本願発明と引用例発明1との相違点2として、「本願発明では、『電動機をクレーンの巻上用駆動源として設け、クレーンの吊下荷重が大きいときは遅くクレーンの吊り下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げする』構成であるのに対し、甲第2号証(注、引用例1)に記載されたものにはこの点について記載されていない点」(審決書4頁5~10行)を挙げ、これにつき、「定出力特性を有する甲第2号証の制御方法を、例えば、クレーンの巻上駆動装置に適用することは、当業者にとって格別困難なことではない」(同5頁7~10行)としているが、誤りである。

(1)  本願発明においては、特許請求の範囲に記載されたとおり、「定格速度を越えた後は電圧を一定とし、周波数を上昇させることにより」制御するものである。

この「電圧を一定とし」及び「周波数を上昇させることにより」の記載により、「周波数のみ」の制御であることが明示されており、本願明細書(甲第5号証)の発明の詳細な説明の記載(同号証4欄14~21行)及び本願図面(第2図)により、誘導電動機の最大トルク曲線A、一定余裕率をもった使用最大トルク曲線Bの技術事項が明らかにされているのであるから、当業者であれば、これを「定電圧制御」ないし「低減出力制御」(原告が命名したもの)に限定したものであると読むのは、まさに技術常識である。すなわち、本願発明の構成要件である「定電圧特性」が「低減出力特性」となることは、「本願発明がクレーンの巻上駆動装置における駆動電動機という技術分野を対象としていること」(吊荷の落下防止のための一定の余裕率)及び「巻上駆動装置における駆動電動機は、かご形誘導電動機であり、インバータによる速度制御を行うこと」(最大トルクの垂下特性)の2つの要件を加えることによって必然的に導き出される結論である。

(2)  審決は、この「定電圧制御」ないし「低減出力制御」を「定出力制御」と誤って解釈したうえ、引用例2に開示された分巻直流電動機の定出力制御方法を、引用例発明1に適用し、本願発明は引用例発明1及び同2の組み合わせによって、容易に推考できるとして、その判断を誤ったものである。

引用例2に開示する技術事項は、定出力特性を有する分巻直流電動機を用いて、吊下荷重が大きいときは遅く吊り下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げすることができるというものである。

しかし、分巻直流電動機と三相誘導電動機とは、構造、回転原理及び制御法のいずれの点においても異なっており、また、引用例1の開示する技術は、巻上用駆動電動機に関する技術ではないから、引用例2に分巻直流電動機に関する技術の開示があるからといって、引用例1の制御方法を直ちにクレーンの巻上用駆動装置に適用することは、不可能である。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断は正当であり、原告主張の審決取消事由はいずれも理由がない。

1  取消事由1について

(1)  引用例1に、原告主張の記載があることは認める。

引用例発明1において、インバータから、可変周波数の交流が出力されることは、原告も認めるとおりである。

電圧については、「電源電圧」を「加減し」又は「一定として」と明記されており(甲第2号証419頁14~17行)、「電源電圧」とは、インバータに対する直流入力電圧をいい、出力される交流電圧の波形がこの直流入力電圧「E」に応じた振幅を呈することが認められる(図16.33、図16.35)から、インバータからは、この「電源電圧」に応じた可変電圧の交流が出力されることが明らかである。

したがって、引用例1には、可変電圧、可変周波数の交流を出力するインバータが開示されている。

三相誘導電動機を可変周波数のインバータで駆動するものにおいては、速度調節の原理が、周波数を加減制御することによって、周波数にほぼ比例した速度を得ることにあることは、当然の事項であるから、周波数を制御していることは、大前提である。また、上記のとおり、「電源電圧」すなわち「(電動機)電圧」を「加減」又は「一定」とする旨明記されており、電圧を制御している。

したがって、引用例1には、周波数及び(電動機)電圧を制御する方法が開示されている。

さらに、電動機は、機械的な負荷を負って運転するものであり、負荷の速度-トルク特性に対して電動機の速度-トルク特性を変化することによって、所定の速度において負荷の要求するトルクに見合う所定の電動機トルク(つまり所定駆動力)を得るようにしていることは、実際運転上の根本的事項であるから、三相誘導電動機を可変電圧、可変周波数で駆動するものにおいても、「周波数及び電圧を制御することにより」三相誘導電動機の速度-トルク特性を変化することによって、「所定の速度」において負荷の要求するトルクに見合う「所定の電動機トルク」(つまり「所定駆動力」)を得るようにしていることは、当然の事項である。

したがって、引用例1には、所定の速度と所定駆動力を得られることが開示されている。

(2)  引用例1に、「低い速度範囲」において「電源電圧」を加減し、「高速領域」において「電源電圧」を一定とすることが明記されており、周波数及び(電動機)電圧を制御する方法が開示されていることは前記のとおりであり、「電源電圧」を加減したり一定とするには、そのための制御を要することは、誘導電動機の基本的な制御特性からみて明らかである(乙第8号証・「電気工学ハンドブック」890頁左欄13~26行)。また、引用例1には、「高速領域ではSCRの耐圧に限度があるから、電源電圧を一定として定出力駆動とする」と明記されており、このように「定出力駆動とする」ことができるように電圧を一定とするのに並行して、周波数を加減する制御がなされることは、これまた、誘導電動機の基本的な制御特性からみて明らかである(乙第1号証・上山直彦編「サイリスタ制御ACモータの運転と保守」137頁3~18行、138頁4~12行、乙第10号証・同書129頁20~21行)。

(3)  本願発明の「定格速度」は、その要旨から明らかなように、「一定トルクを維持するように電圧および周波数を制御」する速度範囲と「電圧を一定とし、周波数を上昇させる」速度範囲の境界であるが、「定格」という語が「保証される使用限度」という意味を有すること、本願明細書の発明の詳細な説明の欄の記載(甲第5号証4欄20~37行)を考慮すると、前者の速度範囲の限界を示している。

これに対し、引用例発明1においては、電動機の運転速度に関する範囲ないし領域について、「低い速度範囲」(低速範囲)及び「高速領域」(高速範囲)という、電圧制御内容が互いに相違する2つの速度範囲が存在することのみを規定しており、しかも、高速範囲での電圧一定制御の理由を「高速領域ではSCRの耐圧に限度があるから」としていることは、電圧が周波数に大略比例するように制御されるような低速範囲での電圧制御を高速範囲まで続行すると、周波数の上昇に応じて電圧が高くなってインバータから出力しうる最大電圧を越すおそれがあるので、この最大電圧に対応する速度を、低速範囲において保証される最大の運転速度とし、この速度を超える高速範囲では電圧一定制御に移行することを表しており、結局、この最大の運転速度を境界として前記両範囲が隣接していることは明らかである。低速範囲での最大の運転速度を「定格速度」ということは、単なる表現上の問題にすぎない。

2  取消事由2について

相違点1は、「可変電圧、可変周波数のインバータ」において、可変電圧を生じるための回路手段をどう構成するかの問題であって、クレーンの巻上駆動装置という電動機の機械的な負荷の問題に関係しない。

そして、このような可変電圧を生じるための回路手段として、引用例1に記載されたもののように、「電源電圧」すなわちインバータの直流入力電圧を制御することのほかに、インバータ自体でパルス巾を変調制御すること、つまり、本願発明の「インバータにパルス巾変調部を介して周波数制御部を接続する」ことは、回路手段構成上の技術事項として、従来周知である(例えば、前示乙第8号証890~892頁参照)。

周知例1及び2(甲第3号証の1、2)は、審決の記載からも明らかなように、周知事項の例として掲げたものであり、本願の別の特許異議申立の証拠として既に原告に提示されていたものを参照の便のために掲げたにすぎないものである。

3  取消事由3について

(1)  本願発明は、その要旨に示すとおり、「定格速度を越えた後は電圧を一定とし、周波数を上昇させる」だけのものであり、定出力制御はせずに、「低減出力制御」なる制御を行うとは限定していない。

原告の主張は、本願発明の要旨に基づいておらず、また、本願明細書の発明の詳細な説明の記載や図面の記載にも基づいておらず、さらに、当初明細書の記載事項の範囲内のものでもないし、当業者の自ずから明らかなものでもないから、「低減出力特性」を根拠にした原告の主張は失当である。

(2)  電動機は、実際運転上、何らかの機械的な負荷を負って運転するものであって、所定速度において負荷の要求するトルクに見合う所定駆動力を得ることができるように、速度-トルク特性が負荷と適合する必要があるから、相違点2は、端的にいうと、引用例発明1において、三相誘導電動機により駆動される機械負荷として、クレーンの巻上駆動装置が適合可能か否かの問題にすぎない。

この点、引用例2には、審決認定のとおりの「巻上用駆動源として定出力特性を有する電動機を用いることによって、吊下荷重が大きいときは遅く吊り下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げすることができる」旨の技術が開示され、この技術は、定出力特性を有する電動機であれば、巻上用駆動源に適合可能であることを表しており、機種が分巻直流電動機であるか誘導電動機であるかを問わない。

そして、引用例発明1における三相誘導電動機は、明らかに定出力特性を有する電動機であるから、引用例発明1をクレーンの巻上駆動装置に適用することは、何ら格別の困難を伴うことなく採用しうるものである。

第5  証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。書証の成立はいずれも当事者間に争いがない。

第6  当裁判所の判断

1  取消事由1(一致点の認定の誤り)について

(1)  引用例1に、三相並列形インバータを電源と三相誘導電動機との間に設けた特定の電気回路(図16.33)が記載され、この回路につき、あるゲート信号を送ったときのSCR(シリコン制御整流器)の動作モード(図16.34)と、SCRの動作モードにおける電圧波形(図16.35)が図示され、その特徴として原告主張の説明が記載されていること、引用例発明1のインバータが可変周波数のインバータであることは、当事者間に争いがない。

引用例1(甲第2号証)には、電圧について、「低い速度範囲では、ギャップ磁束をほぼ一定になるように電源電圧を加減して、定トルク駆動を行ない、高速領域ではSCRの耐圧に限界があるから、電源電圧を一定として定出力駆動とすることができる」(同号証419頁14~17行)との記載があり、図面(図16.33、図16.35)を参照すると、引用例発明1においては、インバータの入力直流電圧を加減し、この入力直流電圧に応じた電圧の交流が出力されるものであることが明らかである。

その意味で、原告の主張するとおり、引用例発明1のインバータは、インバータ自身において電圧を調整する方式のものではなく、インバータの入力直流電圧を調整する方式と認められる。

しかし、本願発明におけるインバータは、本願発明の要旨から明らかなように、誘導電動機の一次側と電源との間に設けられるものであり、インバータの出力が電動機への入力となるのであるから、電動機に所定の巻上速度と所定駆動力を得させるために周波数及び電圧を制御するについて、問題となるのは、インバータからどのような電圧、周波数の交流が出力され、電動機に入力されるかということであって、この場合、電圧の制御がインバータの入力直流電圧を調整することによりなされるか、インバータ自身によってなされるかは、インバータの出力として見た場合、格別の意味はなく、要は、直流電源部からの直流を交流に変換するインバータの回路構成の差異にすぎないものというべきである。

そうである以上、本願発明の要旨にいう「可変電圧、可変周波数のインバータ」が原告主張のように「インバータ自身」において電圧を調整する方式のみをいうものと解する根拠はなく、インバータの出力として可変の電圧、可変の周波数の交流が出力されうるものは、これを可変電圧、可変周波数のインバータと評価することができるというべきである。

審決が、本願発明と引用例発明1との相違点1として、本願発明における可変電圧を生ずるための回路手段である「インバータにパルス巾変調部を介して周波数制御部を接続」した構成が引用例1に記載されていない点(審決書4頁1~4行)を挙げたのは、上記回路構成の差異を述べていることは明らかである。

したがって、相違点1の認定を含めた審決の引用例発明1の認定をみれば、インバータに関し、審決に原告主張の相違点の看過はないというべきである。

そして、昭和52年10月20日第1版第1刷・昭和55年4月30日同第2刷発行・上山直彦編「サイリスタ制御ACモータの運転と保守」(乙第10号証)の記載に照らせば、誘導電動機や同期電動機のような交流電動機において、「1次周波数f1に対応して1次電圧をどう制御するかで定トルク特性や定出力特性など所望のトルク特性が容易に得られる」(同号証129頁下から5~4行)ことは、周知の技術常識であると認められるから、三相誘導電動機を可変電圧、可変周波数で駆動する引用例発明1において、「所定の速度」において負荷の要求するトルクに見合う所定の電動機トルク、つまり「所定駆動力」を得るようにしていることは、自明の事項であるというべきである。

以上によれば、引用例1には、審決認定のとおり、「三相誘導電動機の一次側と電源との間に可変電圧、可変周波数のインバータを設け、周波数及び電圧を制御することにより、所定の速度と所定駆動力を得る」(審決書3頁7~10行)ことが開示されていると認められる。

(2)  引用例1には、前記のとおり、「低い速度範囲では、ギャップ磁束をほぼ一定になるように電源電圧を加減して、定トルク駆動を行い」と記載されているが、このような定トルク駆動を行うことができるようにギャップ磁束を一定にするには、電圧と周波数が大略比例するように両者を同時に制御することによって達成することは、前示の文献「サイリスタ制御ACモータの運転と保守」において、誘導電動機の1次周波数制御の「各制御方式と特性」を説明した項の「(a) E1/f1一定制御」、「(b) E0/f1一定制御」、「(c) トルク最大値一定制御」の記載(乙第1号証136頁4行~138頁3行)から明らかなように、誘導電動機の基本的な制御方法として、周知の技術事項である。

また、引用例1には、前記のとおり、「高速領域ではSCRの耐圧に限度があるから、電源電圧を一定として定出力駆動する」と記載されているが、このように定出力駆動をすることができるように電圧を一定とし、周波数を加減する制御がなされることは、前示文献の上記記載に続く「(d) 定出力制御」の「この制御方式は1次電圧を最高定格電圧E1(max)に保ったままで、1次周波数f1のみを制御する方法である.」(乙第1号証138頁5~6行)の記載から明らかなように、これもまた、誘導電動機の基本的な制御方法として、周知の事項である。

これら周知の誘導電動機の制御方珠に鑑みれば、審決が、引用例1の上記各記載から、「低速範囲では一定トルクを維持するように電圧及び周波数を制御し、かつ高速範囲では電圧を一定として周波数を制御して定出力制御する制御方法」(審決書3頁10~13行)が開示されていると認定したことに、誤りはない。

原告は、引用例1には、可変周波数インバータに電圧と周波数を同時に制御する構成が開示されていない旨及び電圧を一定として定出力駆動する場合には、周波数とすべり周波数との関係を考慮せずに周波数のみを加減したのでは定出力制御とはならず、したがって、引用例1には「高速範囲では電圧を一定として周波数を制御して定出力制御する」方法は開示されていない旨主張する。

しかし、原告のこの主張は、引用例1に記載された、インバータの周波数の加減により、誘導電動機を速度調整するに当たり、低い速度範囲では電源電圧を加減して定トルク駆動を行い、高速領域では電源電圧を一定として定出力駆動とする制御方法を、インバータからどのような電圧と周波数の交流を出力しどのような速度と駆動力を得るように制御しているのかという技術的事項に着目して解釈するものではなく、上記の周知の技術事項が記載されていないことを述べるに止まっており、失当というほかはない。

(3)  本願発明の「定格速度」とは、その要旨の「定格速度までは一定トルクを維持するように電圧及び周波数を制御し、かつ定格速度を越えた後は電圧を一定とし、周波数を上昇させる」との構成が示すとおり、前者の速度範囲と後者の速度範囲の境界の速度をいうものであることは明らかである。

一方、引用例発明1においては、前示のように、「低い速度範囲では、ギャップ磁束をほぼ一定となるように電源電圧を加減して、定トルク駆動を行」うものであって、このような定トルク駆動を行うために、電圧と周波数が大略比例するように両者を同時に制御しており、これを越えた「高速領域ではSCRの耐圧に限度があるから、電源電圧を一定として定出力駆動する」ものであって、このように定出力駆動をするために、電圧を一定とし、周波数を加減する制御がなされているのである。

すなわち、引用例発明1は、「低い速度範囲」において、一定トルクを維持するように電圧及び周波数を制御し、「高速領域」において、電圧を一定とし、周波数を加減する制御をしているのであるから、この「低い速度範囲」と「高速領域」の境界の速度が、本願発明にいう「定格速度」に該当することは、明らかである。

原告は、本願発明の「定格速度」は、クレーンの巻上駆動源における定格荷重の吊荷を吊り上げるのに必要な定格トルクが得られる最大速度をいうから、引用例発明1における「低い速度範囲」と「高速領域」との境界の速度ではない旨主張するが、これは電動機をクレーンの巻上駆動源とした場合の「定格速度」の意味を述べているにすぎず、「定格速度」が一定トルクを維持するように電圧及び周波数を制御する速度範囲の限界を示していることに変わりはない。

取消事由1は理由がない。

2  取消事由2(相違点1の判断の誤り)について

本願発明と引用例発明1とは、相違点1として、「本願発明では、『インバータにパルス巾変調部を介して周波数制御部を接続』した構成であるのに対し、甲第2号証(注、引用例1)に記載されたものにはこの点について記載されていない点」(審決書4頁1~4行)であることは当事者間に争いがなく、この点は、「可変電圧、可変周波数のインバータ」において、可変電圧を生じさせるための回路構成の差異であることは、前示のとおりである。

そして、審決の認定するとおり、「電動機のインバータによる可変電圧可変周波数制御において、パルス巾変調部を介して周波数制御部を接続することは従来周知」(審決書4頁13~16行)との点は、原告の認めるところである。

これをより詳しく見ると、昭和53年4月10日初版発行「電気工学ハンドブック」(乙第8号証)の「インバータの電圧調整」の項には、引用例発明1のようにインバータの入力直流電圧を調整する方式のほかに、インバータ自身で電圧を調整する方式の一つとして、パルス幅変調インバータ(PWMインバータ)があることが記載されており(同号証890頁左欄13行~892頁12行)、これらのインバータの電圧調整手段が、インバータによって制御される電動機の用途に直接関係しない技術事項であることは、明らかである。

したがって、本願発明の「パルス巾変調部を介して周波数制御部を接続」した構成は、周知の技術手段を採用したものにすぎず、これをもって、格別の発明力を要するものということはできない。

原告は、本願発明は「クレーンの巻上駆動装置の制御方法」であり、審決が周知例として掲げた「周知例1」及び「周知例2」(甲第3号証の1及び2)は、本願発明とその目的も作用効果も全く異なる分野のものであり、これを本願発明に対する周知例とすることが不適切である旨主張するが、審決がこれらを記載したのは、インバータによる可変電圧、可変周波数制御において、パルス巾変調部を介して周波数制御部を接続するという手段が周知であることの参照の便のために、例として掲げたにすぎないものであることは、審決書の記載自体から明らかであり、前示周知事項の認定を左右するものではない。

取消事由2は理由がない。

3  取消事由3(相違点2の判断の誤り)について

(1)  審決認定の相違点2が、「本願発明では、『電動機をクレーンの巻上用駆動源として設け、クレーンの吊下荷重が大きいときは遅くクレーンの吊り下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げする』構成であるのに対し、甲第2号証(注、引用例1)に記載されたものにはこの点について記載されていない点」(審決書4頁5~10行)であることは、原告も認めるところである。

原告は、本願発明においては、定格速度を超えた後の電圧を一定とした電動機の出力制御は、定出力制御とはならず、低減出力制御(原告が命名したもの)となると主張する。

しかし、本願発明の要旨には、「定格速度を越えた後は電圧を一定とし、周波数を上昇させることにより、クレーンの吊下げ荷重が大きいときは遅くクレーンの吊下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げすることを特徴とする」と規定するのみであり、この「電圧を一定とし、周波数を上昇させる」という制御が、原告の主張する低減出力制御のみならず、定出力制御を含むことは、本願明細書(甲第5号証)の記載に照らして、明らかというべきである。

すなわち、本願明細書の発明の詳細な説明に、「本発明におけるクレーンの巻上駆動装置の制御方法はこのような誘導電動機の特性を利用する」(同号証4欄6~7行)として記載されているトルクT、出力Pを表す式

「T∝(V1/f1)2・fs

P∝V12/f1・fs

但し、V1:電動機電圧

f1:周波数

fs:すべり周波数」

によれば、電圧V1を一定としたとき、周波数f1に比例してすべり周波数fsを変化させるという条件

fs/f1=一定

のもとで、出力Pは一定となって、定出力特性とすることができ、本願発明の要旨に示す「電圧を一定とし、周波数を上昇させる」制御が、原告主張の低減出力制御に限定されているものと認めることはできない。

結局、原告の主張は、本願明細書の特許請求の範囲の欄の記載に基づくものではなく、また、本願発明の出力制御が原告命名に係る低減出力制御であることが当業者にとって自ずから明らかなものであると認めるに足りる証拠もないから、「低減出力制御」を根拠にした原告の主張は採用することができない。

(2)  上記相違点2は、引用例発明1において、三相誘導電動機により駆動される機械負荷として、クレーンの巻上駆動装置が適合可能か否かの問題であるというべきである。

そして、引用例2には、審決認定のとおり、巻上用駆動源として定出力特性を有する電動機を用いることによって、吊下げ荷重が大きいときは遅く吊下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げする技術が開示されていることは、当事者間に争いがなく、この技術は、昭和48年2月25日第1版第1刷、昭和52年9月30日第1版第7刷発行「モータ活用マニュアル」(乙第14号証)の「定出力特性負荷の速度制御」の項に、「荷役機械において、重いものはゆっくり、軽いものは速く作業させようと計画すれば、高速でも低速でも同じ動力が必要になる。」(同号証42頁本文22~23行)と記載されているように、定出力特性を有する電動機であれば、巻上用駆動源に適合可能であることが認められるから、機種が誘導電動機であるか(引用例1)、分巻直流電動機(引用例2)であるかを問わないというべきである。

引用例発明1における三相誘導電動機は、前記のとおり、定出力特性を有する電動機であるから、引用例発明1をクレーンの巻上駆動装置に適用することは、当業者であれば、格別の困難を伴うことなく想到できると認められる。

したがって、原告主張のように、クレーンの巻上駆動操作において吊荷の落下防止について考慮を払わなければならないという本願発明の特徴を考慮したとしても、審決の相違点2についての判断に誤りがあるということはできない。

取消事由3も理由がない。

4  以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく、その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。

よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 押切瞳 裁判官 芝田俊文)

理由

(Ⅰ) 本願は、昭和56年11月12日に出願されたものであって、その発明の要旨は、出願公告された明細書及び図面、並びに出願公告後の平成2年10月30日付手続補正書の記載からみて、特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認められる。

「巻上用駆動源としてかご形誘導電動機を備え、この電動機の一次側と電源との間に可変電圧、可変周波数のインバータを設け、これにパルス巾変調部を介して周波数制御部を接続して巻上駆動装置を構成し、周波数及び電圧を制御することにより、所定の巻上速度と所定駆動力を得ると共に、定格速度までは一定トルクを維持するように電圧及び周波数を制御し、かつ定格速度を越えた後は電圧を一定とし、周波数を上昇させることにより、クレーンの吊下げ荷重が大きいときは遅くクレーンの吊下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げすることを特徴とするクレーンの巻上駆動装置の制御方法。」

(Ⅱ) これに対して、当審における特許異議申立人、富士電機株式会社が提示した甲第2号証(宮入庄太著、エネルギー変換工学入門(下)(昭40-4-10)丸善株式会社発行)の第418~419頁には、電動機制御技術の常識を勘案すると実質的に次の如き発明が記載されているものと認める。「三相誘導電動機の一次側と電源との間に可変電圧、可変周波数のインバータを設け、周波数及び電圧を制御することにより、所定の速度と所定駆動力を得ると共に、低速範囲では一定トルクを維持するように電圧及び周波数を制御し、かつ高速範囲では電圧を一定として周波数を制御して定出力制御する制御方法」

(Ⅲ) そこで、本願発明と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、甲第2号証に記載されたものの「三相誘導電動機」が本願発明の「かご形誘導電動機」に、甲第2号証に記載されたものの低速範囲と高速範囲の境界の速度が本願発明の定格速度に相当するので、両者は次の1、2の点で相違するほかは一致している。

1. 本願発明では、「インバータにパルス巾変調部を介して周波数制御部を接続」した構成であるのに対し、甲第2号証に記載されたものにはこの点について記載されていない点。

2. 本願発明では、「電動機をクレーンの巻上用駆動源として設け、クレーンの吊下荷重が大きいときは遅くクレーンの吊り下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げする」構成であるのに対し、甲第2号証に記載されたものにはこの点について記載されていない点。

(Ⅳ) そこで、上記1、2の相違点についてそれぞれ検討する。

先ず、1の相違点について、電動機のインバータによる可変電圧可変周波数制御において、パルス巾変調部を介して周波数制御部を接続することは従来周知(必要ならば、特開昭55-92589号公報、または「安川電機」第44巻通巻第168号’80No.3(昭56-3-24)株式会社安川電機製作所p.167-173「ACドライブ」の項参照)の技術事項に過ぎない。

さらに、2の相違点について、同じく特許異議申立人が提示した甲第4号証(特開昭50-44414号公報)の第1頁下段右欄第2~13行には、巻上用駆動源として定出力特性を有する電動機を用いることによって、吊下荷重が大きいときは遅く吊り下げ荷重が小さいときは早く巻き上げ下げすることができる旨記載されている。従って、定出力特性を有する甲第2号証の制御方法を、例えば、クレーンの巻上駆動装置に適用することは、当業者にとって格別困難なことではない。

(Ⅴ) 従って、本願発明は上記周知事項を考慮すると甲第2号証および甲第4号証の記載に基いて当業者が容易に発明できたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

平成3年5月2日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

昭和61年審判第24579号

審決

尼崎市下坂部3丁目11番1号

請求人 日立機電工業 株式会社

東京都千代田区内神田2-3-9 第2桐治ビル4階 伊藤・笹岡特許事務所

代理人弁理士 笹岡茂

東京都千代田区内神田2-3-9 第二桐治ビル4階 伊藤・笹岡特許事務所

代理人弁理士 伊藤修

大阪府大阪市西区西本町1丁目2番8号 第5富士ビル新館内 林奥村特許事務所

代理人弁理士 林清明

昭和56年特許願第182033号「クレーンの巻上駆動装置の制御方法」拒絶査定に対する審判事件(平成2年1月19日出願公告、特公平2-2790)について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

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